
以前、僕が居た会社の社長は、ワンマンで、業界でも強面で有名で殆どの人が面と向かって反論する人は居ない。
そんな人でした。
僕自身もその業界では、その社長の側近として「腫れ物」を触るかのように周りからはご機嫌を取られたりおだてられたりしていました。
最初は、勘違いして「自分は凄い!」と有頂天になって時期もありましたが、ある時期から、実は僕が凄いのではなく、会社、社長が凄いのだと冷静に自分をみれるようになりました。
ただひとつ、僕の中にある「癖」があり、それが仕事上で、その時はプラスにはなっても、僕の会社の業績や自分の人生にはマイナスになっていた事がありました。
その癖とは「恐れ」から「いい人」を演じてしまうという「癖」
実は、あるきっかけを通して、自分は「いい人」を演じる事で、僕自身は業界では嘗(な)められていたという事に気づいたんです。
僕が居た業界は他社との「交渉ごと」がとても多く、その交渉ごとで会社の売上げが決まるとっても過言ではないくらい交渉力が大事でした。
他社から自分の会社にとって不利益な提案があったとき、気づく前の「ひよっこ」な僕の最初の対応はこうでした。
「僕はいいと思うんですけど、社長がなんていうか。。。」
そう、僕は”いい人”になっていて、交渉相手に穏便に対応し、社長のせい、社長を悪者にしてその場をやり過ごしていたんですね。
言い換えれば、「何も判断できない兵隊さん」をやっていた訳です。最低な営業スタイルです。
これをやるとその時はうまくいったような感じがします。相手を妥協させることが出来ますからね。もしくは、社長が僕の代わりに交渉してくれます。
ですから、業界の人達も、「こいつをやっつけてもしかたない」ってことで僕も傷を負うことはありません。
しかし、ある日から、その言葉「僕はいいんですけど」を使っていたを僕を、社長は怒鳴り散らしました。
「いつまでお前は俺の陰に隠れている仕事をしているんだ!俺が居なくなったら、お前はこの会社をどう背負っていくんだ!自分だけ良い子になってるんじゃない!そんな態度でいて何が”独立したい”だ!笑わせるな!」ってめっちゃ怒られました。んー、今でもその声が聞こえてきそうです(^^;
そうなんです。
僕がその言葉を使っている以上は、僕の役割は、「交渉」ではなく、「伝令係」にしか過ぎないからなんですね。
僕は独立を夢見ていたので、そんな事をしていては致命的になる訳です。
独立した時の「いいひと」な自分を、想像しただけで恐ろしかったです。
それ以来、僕は「僕はいいんですけど作戦」が使わなくなりました。
それからというもの、逆に「自分を悪者」にして、交渉に臨みました。
「社長がいいと言っても、僕は譲りませんよ!」
っていう態度で臨みました。
すると、「手強い相手」が最前線にいるので、先方も一所懸命「交渉を成立させよう」と僕に対して折れてきます。僕を通り越して社長に話がいった時も関口の顔を潰さないためと社長も値をつり上げてくれるので、ほとんどの業界の方が僕のところで交渉をしてくれるようになりました。
もちろん、今まで以上に利益が上がるようになりました。
もちろん、僕の成績も上がってきました。
この姿勢によって、僕の「交渉能力」も養えるようになりました。
それからというもの、業界の人達からは「A社の関口って知ってる?あいつ坊ちゃん面してるけど、結構、えげつないから気を付けたほうがいいよ!」とまで言われるようになりましたが、「交渉役」としては、この上ない褒め言葉だと感じたのを覚えています。(悪口=ほめ言葉)
最後のほうでは、その時の社長が僕が使っていた言葉を使い「いや、俺はいいんだけど、No.2の関口がなんていうか。。。この仕事は関口に任せているからなぁ。。。」と社長が「いい人」になっていました(^^; しかし、最初の僕の「いい人」とは違い、「狸」「策士」のような表面上「いい人」であり、しっかりとした商売人には変わりなかったです。
僕のような「嘗められている”いい人”」では無かったんですね。
しばらくの間は、社長と僕の「あ・うん」のコンビで荒稼ぎでした。
まぁ、当時の荒稼ぎの話はこの辺までにして。。。
「恐れに負けてまで、いい人を演じない事」
これってビジネスをやる上でとても大切な事で、最近時々お見受けするのが、「いい人でありたい」「よく思われたい」が為に、
「我慢」をして自分のコンテンツを無料提供してしまったり、
「我慢」をして価格を下げる事で売上げを伸ばそうとしたり
しているひとがいます。
最悪は、ちゃんと仕事をしているのに「お金をとれない」自分になってしまっている。
この「我慢」が命取り。
いや、無意識に「我慢」してしまい我慢している事すら気づかずに、結果、商売が成り立っていな人もいます。
そして、うまくいかない、自分には向いてないんだと独立を諦めてしまう。
そんな人が沢山いるような気がします。
決して「悪役になったほうが商売うまくいく!」と言っているのではないです。
シビアにやったほうがいいと言っているのでもないんです。
心の底から愛溢れていて「値切ってあげよう」「無料でやってあげよう」と慈愛を感じているなら、どんどんやればいいです。しかし、自分を欺いてまで「我慢」して仕事を請け負うと良いこと無いです。
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僕は以前、「え?友達なのにお金とるの?」って言われたことがあります。
そんなときは、「友達が経営しているコンビ二で、『友達だからいいだろう?』って値切ったり、タダでもっていくような事をする?」って質問します。
あの社長の教えがなかったら、「友達を無くしたくない」という恐れに負けて「無料」でやっていたかもしれません。
おっかない社長でしたが、今ではとても感謝しています。
「いい人でいたい」
その気持ちはとっても大切ですが、自分の気持ちを欺(あざむ)いてまで、自分の価値を落とす事はないと思います。
値切ったり、無料でする時は、自分の中から溢れた「余分」でやる事。
それが鉄則のような気がします。
「商売」をしていて、「えげつないなー」って感じる人が多いのは、それは、その商売人が「自分を欺いていない」証拠かもしれませんね。
僕もよく「商売人」って言われることがありますが、その「商売人気質」から、値切ってもらったり、無料で何かをしてもらえるってとても価値があるってこと。
逆に「いい人」って言われている人から、値切って何かを手に入れても、結果的には、それはあなたにとって「価値なき値切り」「価値なき無料」に
なってしまうことでしょうね。
どんな小さな仕事でも、お金を仕事の対価として受け取ることをしているなら自分を欺くような事をしないほうが良いなって思います。
「いい人になる事」は「自分を欺く事」では決してないとお伝えしたいです。
商品、サービスに自信を持つ前に、まずは自分自身への自信を養って自分を欺く事の無い商売をして欲しいなって感じています。
もし、値下げするなら余裕が有る時に感謝を込めて値下げするのがいいですね!
どんどんあなたのビジネスがうまくいきますように。。。